2026年10月19日

ボトックスビスタ®の咬筋膨隆に対する適応が追加されました
アラガン社のボツリヌストキシン製剤「ボトックスビスタ®」について、咬筋膨隆(こうきんぼうりゅう)に対する効能・効果が追加され、厚生労働省の承認を取得しました。
これまで、ボトックスビスタ®は眉間や目尻の表情じわの治療に用いられてきましたが、新たに咬筋膨隆に対する治療も承認されました。
今回は、咬筋膨隆とはどのような状態なのか、治療の仕組みや注意点について解説します。
咬筋膨隆とは?
咬筋(こうきん)は、食べ物をかむときに働く、エラの部分にある筋肉です。
歯を強くかみしめる習慣などによって咬筋が発達すると、下顔面の輪郭が横に広がり、エラが張って見えることがあります。このような状態を咬筋膨隆といいます。
エラの張りには、筋肉の発達だけでなく、骨格や皮下脂肪なども関係しています。そのため、エラが張って見えるすべての方にボツリヌストキシン治療が適しているわけではありません。
ボトックスビスタ®による治療の仕組み
ボトックスビスタ®は、A型ボツリヌス毒素を有効成分とする製剤です。
神経から筋肉への信号伝達を抑えることで、筋肉の過剰な活動を抑制します。咬筋に注射することで、発達した咬筋のボリュームを減少させ、エラの張りを改善する効果が期待できます。
ただし、骨格そのものを変化させる治療ではないため、骨格が主な原因の場合には十分な効果が得られないことがあります。
厚生労働省承認の用量について
今回の承認では、65歳未満の成人の咬筋膨隆に対して、以下の用法・用量が定められています。
投与量は咬筋の状態などを踏まえて判断します。実際の治療では、診察のうえで適切な投与量や治療方針を決定します。
※承認上の対象は65歳未満の成人です。詳細は診察時にご説明します。
治療前に知っておきたい副作用・注意点
ボトックスビスタ®による治療では、注射部位の痛み、腫れ、内出血などが生じることがあります。また、咬筋の働きが弱まることで、かみにくさ、かむ力の変化、表情や輪郭の左右差などが生じる可能性があります。
治療の効果や持続期間には個人差があります。また、筋肉の状態や投与量によっては、頬がこけたように見えるなど、輪郭の変化が生じることもあります。
治療を受ける前に、期待できる効果だけでなく、副作用やリスクについても十分に理解しておくことが大切です。
当院のボツリヌストキシン治療について
エラの張りやフェイスラインのお悩みは、筋肉や骨格、脂肪のつき方などによって原因が異なります。
当院では、患者さんのお悩みや筋肉の状態を確認したうえで、治療の適応を判断します。
咬筋膨隆に対するボトックスビスタ®治療をご希望の方は、診察時にご相談ください。
※治療の適応、使用製剤、費用、リスクおよび副作用については、診察時にご説明いたします。
ボトックスビスタ®による咬筋膨隆治療のよくある質問(Q&A)
Q1. エラのボトックスを打つと、顔がたるみやすくなりますか?
A. 場合によっては、たるみが目立つようになることがあります。
エラの張りが強い方では、発達した咬筋がフェイスラインを支えるような状態になっていることがあります。そのため、ボトックスによって咬筋のボリュームが減少すると、これまでエラの張りによって目立ちにくかった皮膚や軟部組織のたるみが、かえって目立つ場合があります。
特に、もともと皮膚のたるみがある方や、頬の脂肪・皮下組織のボリュームが少ない方などでは、治療後の輪郭の変化に注意が必要です。
治療前にフェイスラインや皮膚の状態を確認し、適切な投与量を検討することが大切です。
Q2. エラのボトックスを打つと、フェイスラインはきれいになりますか?
A. 咬筋の張りが原因の場合、フェイスラインがすっきりして見える効果が期待できます。
咬筋が発達してエラが張っている場合、ボトックスによって筋肉のボリュームが減少すると、下顔面の横幅が目立ちにくくなり、フェイスラインがすっきりとした印象になることがあります。
ただし、フェイスラインの形は骨格や脂肪、皮膚のたるみなどにも左右されます。すべての方に同じような変化が得られるわけではありません。
Q3. ボトックスで頬がこけてしまうことはありますか?
A. 場合によっては、頬がこけたように見えることがあります。
咬筋のボリュームが減少することで、もともとの骨格や脂肪のつき方によっては、頬やフェイスラインがこけたように見える場合があります。
特に、もともと頬のボリュームが少ない方や、顔の脂肪が少ない方では、治療前に十分な評価を行うことが重要です。
こけ感が気になる場合には、状態に応じてヒアルロン酸注入によるボリューム補正や、高周波治療による肌の引き締めなどを別途検討することがあります。ただし、これらの治療がすべての方に必要なわけではなく、原因やご希望に応じて判断します。
Q4. たるみや頬のこけが心配な場合でも、治療を受けられますか?
A. お顔の状態によっては治療可能ですが、事前の診察が大切です。
エラの張りが主な原因であれば、ボトックスによってフェイスラインがすっきりと整うことが期待できます。一方、皮膚のたるみや頬のこけが目立つ方では、咬筋のボリュームが減ることで、かえって気になる部分が強調される場合もあります。
当院では、お顔の骨格や咬筋の発達、皮膚の状態などを確認し、治療によって期待できる効果と注意点をご説明したうえで、適切な治療方針をご提案します。
Q5. 注射の痛みやダウンタイムはありますか?
A. 注射時にチクッとした痛みがあり、施術後に腫れや内出血が生じる場合があります。
ボトックスビスタ®は注射による治療のため、針を刺す際に痛みを感じることがあります。痛みの程度には個人差がありますが、通常は短時間で終了します。
施術後は、注射部位の赤み、腫れ、内出血、圧痛などが生じる場合があります。多くは一時的ですが、内出血が生じた場合は目立たなくなるまでに1〜2週間程度かかることもあります。
施術当日から日常生活を送れることが多い一方、効果はすぐには現れず、徐々に咬筋のボリュームが減少していきます。
Q6. ボトックスを打つと、食べ物がかみにくくなりますか?
A. 一時的にかみにくさや、かむ力の変化を感じる場合があります。
ボトックスビスタ®は、発達した咬筋の働きを抑えることで、筋肉のボリュームを減少させる治療です。そのため、治療後にかむ力が弱くなったと感じたり、硬い食べ物がかみにくくなったりする場合があります。
多くは経過とともに改善しますが、症状の程度や持続期間には個人差があります。
治療後に強いかみにくさが続く場合や、日常生活に支障がある場合は、医師にご相談ください。
Q7. 食いしばりは完全になくなりますか?
A. 食いしばりが完全になくなるわけではありません。
ボトックスビスタ®によって咬筋の活動が抑えられることで、食いしばる力が弱まることは期待できます。
ただし、食いしばりには、睡眠中の歯ぎしりやストレス、生活習慣など、さまざまな要因が関係しています。そのため、ボトックス治療だけですべての食いしばりがなくなるとは限りません。
歯ぎしりや顎の痛みなどがある場合は、必要に応じて歯科などでの評価・治療もご検討ください。
Q8. エラ張りは完全に改善しますか?
A. 咬筋の発達が原因の場合は改善が期待できますが、完全になくなるとは限りません。
エラ張りの原因には、咬筋の発達だけでなく、骨格や脂肪のつき方、皮膚のたるみなども関係しています。
ボトックスビスタ®は、筋肉の発達によるエラ張りに適した治療です。咬筋のボリュームが減少することで、フェイスラインがすっきりとした印象になることが期待できます。
一方、骨格そのものを小さくする治療ではないため、骨格が主な原因の場合は変化が限られます。また、治療効果には個人差があり、左右差が残る場合もあります。
治療前にエラ張りの原因を確認し、期待できる効果について医師と相談することが大切です。